縄文人と私達 〜 注36

公開: 2022年10月5日

更新: 2022年10月5日

注36. アーリア人

学問的にアーリア人を定義する概念は存在していません。「アーリア系」と言う用語は、言語学上の概念です。ヨーロッパ大陸で話されている言語の多くは、インド・ヨーロッパ言語と呼ばれる語族に属しています。しかし、ヨーロッパ言語の中にも、スペインのバスク語やフィンランドのフィン語、ハンガリーのハンガリー語など、周囲の地域の言葉とは全く性質の異なる言語が話されています。特に、フィン語やハンガリー語は、モンゴル帝国の影響を強く残している「こう着語」に属する言語です。

アーリア系の言語は、屈折語と呼ばれる言語の種類に属し、語順が「主語、動詞、目的語」の順序で、動詞は主語によって語尾を変化させ、名詞の前に冠詞が付き、時制を明確に表示する助動詞が使われるなどの特徴があります。名詞を修飾する形容詞を、名詞の前に置くか、名詞の後に置くかは、言語によってまちまちです。ちなみに、中国語は孤立語と呼ばれる言葉の種類に属しています。日本語の場合、こう着語に属していて、語順は「主語、目的語、動詞」の順で、主語によって動詞の語尾が変化しますが、その変化の仕方は、独特な助詞の格変化に従います。冠詞はありません。

ヒットラーが主張したアーリア人は、肌の色が白く、金髪で、背が高く、目の色が青い人々を標準としています。この基準は、スラプ系のロシア人などにも当てはまります。その差を区別するために、ヒットラーは、アーリア人と言う言葉を使ったようです。ただ、その意味を明確に述べたわけではありませんでした。

参考になる読み物